32km/h のつながり

2017年07月10日 23:59

またしても自転車のお話。



会社の先輩が葛西に引っ越したとのことで、自転車で向かうことにした。

葛西までは荒川沿いを伝っていけば、意外とスイスイ行けてしまうので

30キロの工程を1時間半もあれば着いてしまう。

と思っていたが、思いのほか暑かったのと背中に背負ったリュックのせいか、なかなかスピードが出ない。

持ってきたボトルは1本だけだったので、それを温存するために力をセーブしながら走る。

暑くても天気は良いので辺りにもたくさんのサイクリストが走っていて、追い抜いたり追い抜かれたり。

その中にちょうど良いスピードで走っている一人のおじさんを見つけた。

そのおじさんの乗っている自転車はLOOKだが、よく見るモンドリアンカラーではない白と黒のあまり目立たない色。

その色使いもあって、後ろに付いていって良い雰囲気を感じた。

自転車レースをやるとすぐに付く知識だが、自転車は前を走る人の後ろに隠れるようにして走ると空気の抵抗を避けることができて、いつもより軽い力で走れるのだ。



速度は32km/h。

何も声をかけずにそのおじさんの後ろを1メートルほど離れて走る。これがチームメイトとかだったら30cmとかの場合もある。

さすがに赤の他人にぴったりついて前で急ブレーキをされたらどちらも損をする構図になる。それは避けたい。

おじさんはたまに横を向くが、そのサングラスでこちらに気づいているのかどうかわからないが、そのまましばらくついて走る。

疲れてきたのかスピードが落ちてきた。

ここからが僕の出番だ。

何のルールも義理もないのに勝手に意気込んで僕が前に出る。

もちろん、何も言ってないので僕に付いてくるかもおじさん次第。

速度は32kmで合わせたまま。

こんなことをしていてなんだが、少し気まずい(人によっては嫌がられるので)。

しばらく後ろを見ずに進む。ちょろっと横見ると付いてきているようにも見えるが、リュックが邪魔をしてはっきりとは見えない。

僕も疲れてきて、スピードが落ちてくる。

すると、おじさんが出てきた。

これはひょっとすると乗ってきてくれてるのかもしれない。

すかさずまたおじさんの後ろに付く。

確信はないが、どこかでつながっている感覚が出てくる。雰囲気とはテレパシーなのかもしれない。

おじさんはちょいちょい後ろを見るようになった。何を見てるのか、変な興味が沸いてくる。

その後も互いに交代して走る。しかし、言葉はなければ合図もないのは変わらない。




しかし、そろそろ僕の限界が近い。

近頃は長距離を乗っていないのでへばってくる。ここらで休まなくては。

荒川にかかった自動車の橋の陰を遠くに見つける。あそこで休憩しよう。

影が近づいてきて、後ろを少し見る。まだおじさんはいるようだ。

気恥ずかしさから若干迷うが、ここまできて何も話さずにはいられない。

徐々にスピードを緩めつつ道の左側へ逸れながら右を通り過ぎるおじさんを待つ。

「キヲツケテネー」

おじさんは外人さんだった。というか先に言われてしまった。

「ありがとうございました!」

焦ったように早口で返す。


自転車の速度は0km/h。

陰に入って自転車を倒し、格子状にはめられたコンクリートブロックに腰を落としてボトルを口に運ぶ。

これだから自転車は良いのだ。と思う。

目の前では少年野球の練習で、コーチの怒号が響いていた。





というお話。

でもホント、これがロードバイクの魅力です。これ以上の良いところはないのではないでしょうか。

近頃はレースで怒ってるの人たちを立て続けに見てしまって、レースが嫌になってしまっていたので

思いがけずロードバイクの最高の持ち味に完敗しまいました。





そして、会社の先輩I田さん。

すっかり絡まない話になってしまってごめんなさい。

いつも僕のブログを見ていただいて、とてもうれしい限りです。

見てくれてる人がいるのがわかっていると、記事を書く意欲も沸くというものなのです。

と言って、この場を返させていただきたいと思います。

ではまた。




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目が伝えている

2017年07月03日 22:52

今日の自転車通勤中の出来事。

僕の会社は東京駅のすぐ近くにあるので自然と皇居付近を通るのだが、

今日は早めに自宅アパートを出たせいもあって、いつもより20分ほど早い通勤路を進んでいた。


せっかくなので、いつもは素通りしている帝国ホテルのふもとに広がる噴水のある綺麗な公園で

一休みしようと石のベンチに座っていると、一組の外国人の父子が僕のベンチの前を通っていく。


僕は特に注目するつもりはなかったが、短パンの蛍光オレンジが妙に目立って自然と目がその人に向いた。




目が合った。そして軽く会釈された。




そしてすぐにわかった。この人はサイクリストであると。


体格はスラリとしていて、短パンから伸びた脚は無駄のない筋肉を備えている。…ように見える。

まあそんな筋肉談議は置いといても、

何か引っかかって向こうも僕に会釈してくれたのだ。

それが嬉しかった。

僕だってただ走ってるわけじゃない。自分に似合うスタイルを探して自転車に乗っていると自負している。

言葉はわからなくとも、(というかそれ以前に)話すほどの関係じゃなくても、

それが何となく伝わったのではないかという期待の嬉しさ。





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そんな日の夕暮れ。

すごい橙色だった。







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